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  • ジョージ・チャキリス

日本の面影

更新日:2022年2月22日

ここ何回かにわたり,過去に私が出演した作品についてお話ししていますが、大変好評をいただいているようで私も嬉しく思っています。





今回は1984年に出演したテレビドラマ『日本の面影』についてお話ししましょう。


NHKのドラマシリーズで ラフカディオ・ハーンというギリシャとアイルランドの血を引く人物の物語でした。


私はそのハーンを演じました。彼は日本への強い憧れから、人生の後半を日本で送ったちょっと変わった人でした。日本が大変気に入ってしまった彼は,セツという日本女性と結婚し,名前も『コイズミ・ヤクモ』と改名しました。


そう小泉八雲です。日本では今でも、優れた作家として評価されているようですね。



日本へ渡るまではジャーナリストとして各地で活躍し、40歳の春についに渡日、島根県松江市に英語の教師として赴任した彼は、日本の伝統や文化に大変興味を持っていました。


とりわけ怪談には魅せられたようで、そのいくつかを英語に翻訳しています。日本では彼についての著書がいろいろあるようですので,興味がおありの方は読んでみてはいかがでしょうか? かなり面白い人物だと思います。




八雲の妻、セツを演じたのは檀ふみさんでした。セツは貧しい士族の出でしたが、彼女の多大な協力によって多くの民話を収集した八雲は,著書『怪談』を書き上げました。


このように日本の伝統をこよなく愛していた八雲は、時代の流れ、著しい社会の変化を残念に思っていたようです。





檀ふみさんは,素晴らしい女優である事はいうまでもありませんが,英語も堪能で,教養豊かな優しい女性でした。私は役どころから、台詞はすべて日本語でしたので大変苦労しましたが、日本語トレーナーとの綿密な訓練のおかげで、本番ではひとこと、ひとことをきちんと理解して言う事ができました。


当たり前の事ではありますが、大変重要な事だと思います。


あるリハーサルの日、八雲がセツにプロポーズをする大事なシーンの撮影を翌日に控え、私は長い台詞をなかなか自分のものにできずに苦しんでいました。そんな私を見て檀ふみさんは、リハーサルが終わった後も一緒に居残って私を助けてくれました。





彼女の忍耐強い助けのお陰で、翌日の撮影では、私はワンテイクで撮りを終えることができました。しかも彼女は、お母様やお友達も招いて私の為に自宅で夕食会を催してくださり、私にとっては大変嬉しいおもてなしでした。


最後に、この『日本の面影』に携わった全てのスタッフ、出演者の方々、そして監督とは本当に良い仕事ができたと感謝しています。


私同様、この「おしゃべり」を皆さんも楽しんでいただけましたでしょうか?


ではまた、ごきげんよう。


ジョージより


翻訳:H・SANO



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